台湾:言語

last update : 2018/07/12

文字

台湾では繁体字(繁體中文、繁體字、正體字)が使われている。日本の旧字体に相当するものも多い。
このため、ある程度慣れれば文章から大雑把な内容を把握することは可能。ただし、日本語の漢字単語とは異なる意味を持つものも少なくないので注意。

また、台湾では固有名詞の省略が行われることが多く、後述の台灣語や日本語といった他国の言語が多く取り入れられているため、香港や中国の文章よりも機械翻訳の精度が低くなりがち。

ちなみに繁体字は台湾以外でも香港やマカオ(澳門)で使われている。このため書籍などは台湾と香港で同一のものが流通していることも多い(価格表示が台湾ドル(NT$)と香港ドル(HKD)が併記されている)。

また、中国で使われている簡体字(简体字)は覚えやすいように繁体字を簡略化したもの。ある程度の教育レベルがある中国人であれば簡体字→繁體字は理解できることが多いと言われている。
なお、逆の繁體字→簡体字は、理解するには簡体字の学習がそれなりに必要とされている。

以下、台湾で主要な言語の分類

國語
(台灣國語、
台灣華語)
台灣國語、台灣華語とも。
「華語」は中国以外で話される中華系言語を指すようで、華僑の多いマレーシアやシンガポールで話される中国語を華語と呼称することもある。

第二次大戦後に台湾の統治を始めた國民党が公用語として制定したもの。
ベースは北京語だが、後述の台湾語や客家語、日本語の要素が多分に取り込まれているため、伝わらないレベルではないが文法や語彙がだいぶ異なる。
また、音域が北京語より狭いとされる。

ちなみに現在中国で標準語とされている普通話も北京語がベースではあるようだが、色々と手が加えられているため厳密な北京語とは異なる点も多いとされる。

台灣語
(台語、
臺語)
ベースは福建地方南部の厦門などで使われている閩南語。
ただし、他の言語の読みや表現が多く取り込まれているので、閩南語とは別物と化している(閩南語自体も別物レベルの方言が多いとされる)。

台湾では閩南語として扱われることもあり、台灣閩南語と呼ばれることも。
第二次大戦終了までは台湾でも広く使われていた。(台湾で本格的に日本語教育が行われるのは1937年の皇民化運動以後)

古代中国語要素が含まれるため日本語の音読みに近い読み方をする漢字も多い。
現在も高雄や台南などの南部地域や澎湖諸島などの日常会話では使われていることが多い。

客家語
(客語)
主に広東や福建地方西部の民族である客家人による言語。
台湾では桃園・新竹・苗栗・花蓮と台東の平野部などに客家由来の人々が住む。

一応台湾の教育課程では学ぶようだが、台灣語と比べると日常的に用いている人口は非常に少ないとされる。

原住民言語 大半のルーツはマレーシアやポリネシアなどの南方方面なので、中国語との関係性は低いとされている。
台鐵の東部幹線では阿美語(花蓮・台東・屏東の原住民族)の車内アナウンスがある。

拼音(ピン音)

中国語版のローマ字的なもの。
日本語のローマ字にもヘボン式と訓令式などがあるように、ピン音にも色々と種類がある。

ただし、台湾では発音を表すのに後述の注音符號が用いられるのが一般的なため、ピン音が使われるのは英文など外国語用途としてのものが大半。

漢語拼音

1958年に中国(中華人民共和国)が採用したもの。ピン音と言えばだいたいはこれを指す。

現在、台湾でも公的・一般的に使用されているピン音ではあるが、中国と台湾では表記の仕方が微妙に異なる模様。

通用拼音

1998~2008年頃まで台湾で公的に採用されていたピン音の方式。現在はほぼ使われていない模様。

威妥瑪拼音(ウェード式ピン音)

台湾では従来から使われてきたピン音。

現在も地名や固有名詞はこのウェード式で表記されることが結構ある。

注音符號(bopomofo、ボポモフォ)

要は中国語キーボードにある漢字の部首みたいなアレ。

台湾では発音を表すのに、幼児・初等教育からこれが一般的に使われている。
台灣國語、特に台灣語はこれを用いないと正確な発音の表記が難しいとされる。

白話字

台灣語や客家語のローマ字表記法。

台湾では19世紀後半にプロテスタントの宣教師によって持ち込まれたとされる。
現在は学術や研究以外ではほとんど使われていない模様。

台湾における日本語

日本以外の国や地域の基準で考えればかなり伝わる方と言えるが、コミュニケーションが取れるレベルかどうかは人次第といった印象が強い。

「台湾では日本語通じる」と言われている背景には、この日本語が流暢な現地の人に会ったという事例が拡大的に解釈されて広まったものと思われる。

また、ACG(Anime・Comic・Game)界隈では日本(日本語)の作品が多く出回っている関係で、日本語のインプット(読み・聞き取り)に関しては理解できる人はそれなりに存在はする。
ただ、アウトプット(書き・話し)が苦手な人は多いとされる。

以上から、台湾の地で日本語のみで会話や意思疎通が成立するかというと「基本的には難しい」という前提は頭に入れておく必要がある。
そのため、スムーズに意思疎通をするのであれば、こちら側が繁體中文による筆談、ジェスチャーや英語の併用は必要ということになる。

実際の所は、宿泊施設や有名どころの交通拠点や観光地の案内所は簡単なコミュニケーションならやりとりができることは多い。

大雑把な歴史

台湾で日本語教育が本格的に始まったのは、日治時期の1937年の皇民化運動以後。
ただ、原住民に対しては積極的に教育が行われた。台湾の山間部の高齢者が流暢な日本語で~という事例はだいたいこれが理由と思われる。

1946年に中華民國が接収後、台湾から公には日本語は消えるものの、反体制派間で暗号的に使われたり、原住民間でのやりとりなどで細々と使われていた時期もあった。

その後、戒厳令解除された1987年以降、交流も盛んになり日本語を学ぶ台湾人も増加。
現在では広告などのキャッチコピーでも日本語もしくは日本語風のものが使われていることも多い。

台湾の日本語案内

大半はGoogle翻訳にぶちこんだものなので、翻訳ミスも多く鵜呑みにすると泣きをみることがある。

台湾における英語

聞き取りや読みには強い一方、話しや書きには弱い傾向があるとされる。

街中では日本よりは通じやすいかも程度。宿泊施設や各地の案内所ならだいたい通じる。
カタコトの単語によるやりとりや、ジェスチャーなどを交えれば意思疎通は割と可能。

リンク

萌典
https://www.moedict.tw/

中華民國教育部(日本では旧文部省に相当)で公開されている國語辞典・臺灣閩南語辞典・臺灣客家語辞典を使いやすくしたもの。この萌典自体もオープンソース。
iOSやGooglePlayのアプリ版もある。

参考文献

台湾における英語科教育について | 中央大学
http://www.chuo-u.ac.jp/academics/faculties/letters/fees_schol/scholarship/report2012/rep03/

Wikipedia(日本語版、中国語版)の各ページ

ピン音 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%B3%E9%9F%B3

拼音 (消歧義) – 維基百科
https://zh.wikipedia.org/wiki/%E6%8B%BC%E9%9F%B3_(%E6%B6%88%E6%AD%A7%E4%B9%89)

臺灣語言列表 – 維基百科
https://zh.wikipedia.org/wiki/%E8%87%BA%E7%81%A3%E8%AA%9E%E8%A8%80%E5%88%97%E8%A1%A8

日語 – 維基百科
https://zh.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E8%AF%AD

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